【実施報告】DSCafé「持続可能な地域づくりのためのデータサイエンス ―生態系サービスの活用への挑戦ー」を12/7に開催しました

2023年12月7日開催のデータサイエンスCaféは、「科学―政策インターフェス×データサイエンス」をキーワードに、中央大学理工学部のホーテス・シュテファン教授にご講演いただきました。

持続可能性の概念

「持続可能性」という言葉は、SDGsの広がりとともに耳にしたことがある方も多いと思います。では持続可能性とは何でしょうか?科学の観点で説明すると「ある系の状態が時間の経過に伴って、一定の変動幅を超えない状況が続く」ことだそうです。時間経過とともに、”ある指標”が完全に変わらない状態(Inertia)、一定の幅で変動する状態(Resilience)であれば、持続可能性が保たれているといえます。しかし、一定の閾値を超えたり、下回ったりすると、元の状態に戻らなくなります。これを生態学では”レジームシフト(Regime shift)”と呼びます。一方、政治や経済学的な観点では「持続可能な発展」が求められています。

生態系サービス~シナリオ作成と政策評価~

2005年には当時のアナン国連事務総長のもと、「Millennium Ecosystem Assessment」報告書が提出されるなど、地球規模の生態系評価の必要性が訴えられました。現在でも、IPCC(国際気候変動会議)やIPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム)など、様々な国際組織で地球規模での生態系に関する議論が行われています。最近は特に、気候変動でどのようなことが起こりうるかではなく、設定目標を掲げ、その達成ためにはどうするべきかのシナリオを考えましょうという提案がなされています。このため、科学者だけでなく政治家や企業経営者などのステークスホルダーの参加が重要とされています。SDGs(持続可能な開発目標)では、社会、経済、環境に関する17の目標が掲げられています(実はその下に169のターゲットと、231の指標が掲げられています)。各国の取り組み状況はバラバラです。ご講演では、これを社会・経済と環境指標の指標データで可視化したグラフでご紹介いただきました。なお、最近では、生物多様性の新たな世界目標となる「ポスト2020生物多様性枠組(Global Biodiversity Framework)」も掲げられており、経済界への情報提供のためのタスクフォースについてもご紹介いただきました。

湿原生態学的研究

そして最後に、先生のご専門の生態学のご研究成果のひとつである湿原生態系についてお話いただきました。内容は、火山灰降下物が湿原植生にどのように影響しているのか(Hotes et al. 2010, Oikos 119:952-963)。最近では研究効率化のためにドローンを導入し、ミズゴケ湿原生態系の復元・再生に関するご研究を行っているというお話もありました。

当日の参加者は、対面会場22名、オンライン13名の合計35名。ホーテス先生には、日本語でご講演いただきましたが、対面会場は、留学生が多かったため、英語を交えてご講演いただきました。ホーテス先生は日本語も英語も完璧なトリリンガル(母国語はドイツ語、もしかするともっと多言語ユーザー??)で、大変わかりやすくご講演をいただきました。

ご講演後のアンケートでは、「本当に聞き応え面白い内容でした。持続可能な社会というキーワードの講義で、データサイエンスを用いて紹介するのは説得力がありました。(10代・大学生)」や、「ご本人の研究部分がとても興味深かったので、そのことについてもっと聞きたかった。(50代・自営業)」とのご感想をいただきました。

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