データサイエンス座談会 Vol.2

テーマ2:いま話題の「ChatGPT」もう使ってみましたか?

❝ChatGPTってどんなもの?❞

奥野:さて、次のテーマは(学生がサイコロをふり)──。今話題のChatGPTですね。

玉手:皆さんと話してみたかったテーマのひとつです。

奥野:それは楽しみですね。では、この中でChatGPTを使ったことがある人はどんな風に使っていますか?使ったことがない人は、どんなイメージを持っていますか?

田茂:私はまだ使ったことがないのですが、ChatGPTにキーワードを入れて指示し、小説を作ってもらうテレビ番組が印象に残っています。人間だけが感情を使って思考しているのかなと思っていましたが、AIも感情のようなものを使って書いてくるのがおもしろいなと思いました。

玉手:単純に答えが返ってくるのではなくて、読んでる人の感情が動かされるからすごいですよね。

奥野:人の感情というのは「良い」とか「悪い」ということですよね。ChatGPTを始めとする生成型のAIツールは、その感情をスコアで表して、スコアがひとりで歩けるように勉強させています。一番最初にそのスコアを人間が付け、今度はそのスコア付けをするプログラムをつくります。そうすると、そのプログラムが自動でスコア付けを繰り返し、莫大な量のデータを蓄積します。そしてそこから導き出された言葉を人が読むと「いいね」と感じる。そんな世界です。富岡君はどうですか?

富岡:僕はChatGPTがニュースで大々的に取り上げられるまでは、企業サイトによくある質問ページのチャットAIのようなイメージを持っていました。質問を入力してもなんだかちょっとズレた回答が返ってくるような。でも小説を書いたり会話をしたりできるのは大きな進歩ですね。

玉手:今まで未来だったイメージがすぐそばにありますよね。齋藤君は?

齋藤:自分が見たのはオモシロツールとしての使い方です。突飛な質問をして、何かおもしろい答えが返ってきたり、自分には彼女ができますか?と質問して、できませんという回答をSNSで自虐ネタとして投稿したり。

玉手:実用的でなくても、感情が豊かになるおもちゃのような一面もありますね。

奥野:使ったことがある人はどうですか?

❝ChatGPT、どんなふうに使ってる?❞

高橋:私はちょうど昨日初めてChatGPTを使って感動したんです。友人と一緒に、高校生の探求学習のサポートをしていたのですが、高校生たちは自分が何に興味があるか、何を調べたらいいかがわからなくて困っていたんです。そこでChatGPTを使ってみることにしました。

玉手:探求学習ですか。どんなふうに使ってみたんですか?

高橋:まずはChatGPTに「言語の探求について考えています。おすすめはありますか?」と聞いてみました。すると「言語の中でもどんな言語が良いですか?」「文法と文法的なものだと何が良いですか?」など、どんどん質問が出てきて。答えていくと、ChatGPTがどんどん話題を膨らませていきました。そのときに「AIって人間よりもスゴイのでは?」と感じましたね。皆さんはどんなふうに使っていますか?

秋葉:私はChatGPTに人工知能に関するおもしろい論文はあるかを聞いてみたところ、10選ほど紹介してくれました。あとは就活の自己分析をするのにも使えましたね。

奥野:私は企画を考えるとき、まとまった草案をもとに自分の考えにない視点を加味して、思考を整理するのに使っています。玉手学長はどうですか?

玉手:私はChatGPTがレポートの課題をどこまで自動的に書けるのかが気になり、実際に試してみたことがあります。自分が受け持つ基盤共通教育と、さらに理学部の3年生の授業で同じように試してみました。結果は、基盤共通教育の一般的な話題ではほぼ正解、一方で3年の専門知識になるとまだまだ間違いが多くありました。でも、いずれは後者の知識レベルにも追いつくでしょう。

秋葉:挨拶文や講演文の作成にも使えると聞いたことがあります。玉手学長は人前でお話をする機会が多いかと思いますが、ご自身の講演や挨拶の際にChatGPTは活用されていますか?

玉手:そうですね、使うこともあります。ただ、これからますます多くの人々に対してメッセージを発信する機会が増える中では、自分自身の明確な言葉を伝える必要があり、ありきたりなことはAIが言ってくれます。だからこそ自分自身のメッセージは何かを確かめるためにChatGPTを使えますね。これは本質的なテーマなのではないでしょうか。

秋葉:確かにその通りですね。

❝データが財産になる時代、注意すべきこと❞

奥野:今、技術が急速に発達し、産業が大転換するほどのことが起こっています。確実に世の中は変わっていく。少しだけでもその世界の流れに興味を向けてみてもよいかもしれません。ChatGPTを使うときの注意点を山形大学のホームページに載せています。新しく生み出される技術をどんなふうに使っていくとよいのか、ぜひ考えてみてください。

高橋:ChatGPTを使うときの注意点は、なにかありますか?

玉手:これからはデータ自体が本当の価値となる時代です。個人のデータは自分自身の財産です。今、大手企業がこぞって生成型のAIツールを一般公開し、多くの人に無料で使わせているのはなぜでしょう。それは実は、個人が持っている貴重なデータを収集しているからです。だから今、企業機密データや個人情報はChatGPTに出してはいけないという規制がかかっています。皆さんもChatGPTを使うときは、自分の貴重なデータが吸い取られないように注意しなければなりません。固有名詞や自分の名前は入れないようにしましょう。自分たちのためにデータをどのように使っていくかを考えることも、データサイエンティストの役目でしょう。

高橋:なるほど。自分の名前や友人や家族の個人情報を入れないように気をつけます。

奥野:ChatGPTは、人間の言語をモデル化した「言語モデル」であり、人間と同じような思考や意識を持っているわけではないということを理解した上で、使い方を考えることが大事です。こんなふうに使えるのでは?どんなところで使えるのか? といった意識が出てくるとおもしろいですね。 (→Vol.3へつづく)


もくじ

  • テーマ1:データサイエンティストと聞いてイメージすることは?(Vol.1へ)
  • テーマ2:いま話題の「ChatGPT」もう使ってみましたか?
  • テーマ3:人工知能が人間を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」は来ると思いますか?(Vol.3へ)
  • 番外編:参加学生のコメント(番外編へ)

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