【実施報告】 DSCafé「ベイズ統計を用いた考古学研究の実践ー日本考古学とアンデス考古学ー」を5/10に開催しました

2023年5月10日のDSCaféは、考古学×データサイエンスをテーマに山形大学教員による「ベイズ統計を用いた考古学研究の実践~日本考古学とアンデス考古学~」を実施いたしました。学士課程基盤教育院の白石哲也准教授には「考古学と年代学」、人文社会科学部の松本剛教授には「14C年代のベイズ分析(先スペイン期アンデスの場合)」との演題で、ご講演をいただきました。

考古学と年代学

白石先生のご専門は考古学で、先史時代の食文化や弥生・古墳時代の信仰関係のご研究をされています。今回は、考古学における年代、土器の型式学、14C年代、ベイズ統計を応用した暦年代論についてお話いただきました。土器の文様は時代とともに連続的に変化しており、層位学的確認を経て、相対年代が設定されます。しかし、地域差のない、地球規模での絶対年代(暦年代)を決めるには別の指標が必要で、近年は14C、すなわち放射性炭素年代測定が多用されています。ただし14Cの測定値そのものはバラつきがあり、年代推定には校正が必要となり、ここに、ベイズ統計が使われているとのこと。今回のご発表は考古学の歴史や基礎、14C年代推定方法について、分析機器の写真や発掘現場の作業風景、数多くの土器の写真やイラストも交えながら、わかりやすくご講演いただきました。

14C年代のベイズ分析(先スペイン期アンデスの場合)

松本先生は、アンデス考古学を中心にご研究されていますが、今回は南米ペルー北海岸ので紀元後950年ごろから150年ほど(シカン遺跡を中心に)栄えたランバイェケ文化に関するご講演をいただきました。「ランバイェケ文化は11世紀半ばに始まった大規模気候変動がきっかけとなり、社会不安が広がり、それまで重圧を受けてきた一般民衆が放棄して滅ぼされた」というのがこれまでの定説でした。しかし、先生方の調査により、実際には通説とは異なると考えられたため、堆積学や放射性炭素年代測定、粒度分析、蛍光X線分析などの様々な分析手法を用いて調査し、検証したとのこと。14Cによる放射性炭素年代測定データをベイズ統計処理すると、30年単位の高精度年代推定ができ、その結果に基づくと、やはり従来説は再考が必要であろうとの内容でした。

当日の参加者は、対面会場7名、オンライン14名と、文系理系問わず多くの方にご参加いただき、スタッフ3名、講師2名合わせて総勢26名で活発な議論を展開しました。なお会場には学長が飛び入り参加、オンラインにも副学長1名のご参加がありました。

CATEGORY

TAG

もっと見る

ARCHIVE

Translate »